「料理は美味しい」
中華旬彩 森本
濃厚担担麺とよだれ鶏


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雑居ビルの外観に店の入口は見えない。
まずピザ屋の巨大な立て看板があり、
その後ろに上り階段があり、
その階段の脇に立てられた小さな黒板の、
森本のランチメニューは愛嬌のある手書きだ。
矢印の先を見ると地下への階段に行列。

あとからやって来た友人Hと最後尾につける。
開店直前で、20人ほど並んでいる。
まず予約客が呼ばれて、
それから行列が吸い込まれていく。
1巡目では入れず、階段で30分待って入店。

名物よだれ鶏 1,600円
麻婆豆腐 1,400円
濃厚担担麺 1,400円
いずれもセットの値段で、
ご飯、スープ、サラダ、デザート付き。
よだれ鶏は、単品のミニサイズ 600円もある。

注文は前もって決めてある。
担担麺セット+ミニよだれ鶏で計2,000円。
名物料理を2種類楽しむための、
言わば“よくばりパック”だ。
せっかく心斎橋まで来たのだから、
食べたいものを食べておきたい。

同じく“よくばりパック”と行きたいが、
最近少食気味でなァと眉尻を下げるH。
スカした態度の店員に聞く所、
担担麺単品の注文も可能とのこと。
じゃあ、と麺単品+ミニよだれ鶏を選択。

しかしひと通り注文を確認したあと、
担担麺は単品でもお値段変わりませんが、
よろしいのでしょうか?と、
まるで値踏みするように問う店員に、
じゃあ、セットで、いいです、と日和るH。
不毛なやり取りに辟易する私。

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料理はすぐに提供された。
メニューの選択肢を絞った上で、
さらに調理時間を短縮する工夫があるらしい。
厚みのある丸い鉢のファンシーさと、
木の盆でロハスな印象。
いかにも女性が好みそうな配膳だ。
綺麗にたたまれた紙ナプキンにも好感。

担担麺は砕いたナッツと挽き肉と青菜で、
見た目美し、食感楽し、香味良し。
しなやかな麺はかなり量があり、
丼の底から湧いてくる気さえする。

しかし、濃厚と言う割には軽いなァと、
首をひねりひねり半分食べた頃、
丼の底にごまペースト?のカタマリを発見。
混ぜて溶かせばみるみる“濃厚”担担麺。

香ばしいスープに甘みとコクが加わり、
何倍も美味しくなった。
前半戦が惜しまれるほどの旨み。
店員は始めにこれを説明すべきだろう。
あるいは混ぜなかった私が非常識人なのか。

よだれ鶏は定番のピリ辛。
しっとりした皮付きの鶏胸肉と、
パリパリの香辛料とを一緒に食べる。
ラー油と醤油のタレは旨味があり白飯を誘う。
皮付きなのに歯切れがよく、
かなり美味しく仕上がっている。
パクチーが好いアクセント。

盆の端にあるのは杏仁風味のプリン。
香辛料と塩気にまみれた口内を、
やさしくクールダウンさせる。
これがまた上品な甘さで、
どんぶり1杯でもいけそうだ。

総じて料理は値段相応か、
それ以上に感じさせる秀でた美味しさ。
さすが元有名ホテルのシェフということか。
メリハリのある上級な中華料理で、
質、量ともに十分な満足感を得られた。

さて、食べ終えて箸を置くや否や、
まるで手品のように盆を抜き取られる。
さっさと帰れという意思表示に他ならない。
食事目的の店では長居無用派の私も、
それ自体には同意するが、
連れがいる場合は多少は配慮すべきだろう。

料理は評判通りに美味しいが、
接客応対に少々難がある店。
再訪はない。ご馳走様々。

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