「若い子は好きなんやろねこういうの」
油そば きりん寺 裏なんば店
全部のせ油そば大盛り


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油そば専門店、きりん寺。大阪では至る所で見かける有名店だが、恥ずかしながら初めての訪問。近鉄日本橋駅から南に歩いて5分ほどの、交差点のカド地に、白い電光看板が眩しい。右手に会社カバン、左手にトイザらスの袋を提げ、会社員に扮したサンタさんの入店だ。

扉を入るや否や、サウナのような湿気に視界を奪われた。目の前に券売機らしい四角のシルエットがあるが、それどころではない。真っ白に曇ったメガネを額に上げ、おぼろげに見える近くの席にカバンを置いた。ポケットからハンカチーフを取り出し、メガネの水滴を拭い、ついでに顔を拭った。蒸し暑い。

外観から想像したよりも広々としたフロアに、先客はひとり。19時台でこの客入りはちょっと不安になる。「お好きな席にどうぞ!」早足で水を持ってきた男性スタッフAはそう言って白い歯を見せたが、このようにガラ空きの店内では、それは本当にそうだなと思った。いま荷物を置いた席に陣取る。

財布を持ってあらためて券売機の前に立ち、そのボタン配列と腹の減り具合から最適解を考える。

まず最上段には麺量のボタンがある。
・麺大盛り 100円 210g
・麺W盛り 200円 280g
・麺トリプル盛り 300円 420g
それぞれ麺量がグラムで併記されているのは助かるが、メニューを決める前に麵量を決めるのは妙な感じ。逆算すると通常は140gか。とりあえず、麺量は大盛りとしておこう。

次の段に4つ並ぶ「油そば」のボタン。
・油そば 780円
・半熟玉子入り 880円
・キムチ入り 980円
・全部のせ 1,080円
なるほど全部のせとは、100円の玉子も、200円のキムチも乗せたフルコースらしい。それにしてもボタンに挿し込まれた写真の画質が酷くて、丼面が全然判らない。とにかく、油そばは全部のせで決定。

あとはご飯類とトッピング単品、ドリンクのボタンが続いているが、特に用は無さそうだ。麺を普通盛りにして+白飯という選択肢もあるが、今はひたすら麺を食いたい気分。かくして、本日の晩飯は、全部のせ油そば大盛り1,180円に決定。なかなかいいお値段する。よそならちょっとした定食が食べられるぞ。チケットを男性スタッフAに渡して着席し、水を口に含んでひと息つく。

サーブを待つ間に、壁に貼り付けてあるウンチクで油そばを勉強しておこう。

「油そばのおいしい食べ方!」
①最初にお酢とラー油をかける
②丼に1〜2周はお酢とラー油をかける
③豪快に混ぜる

うん。いや、①と②はまとめられなかっただろうか?「最初に1〜2周お酢とラー油をかける」で良くないか?それとも、タイミングを2度に分けてかけるのか。詳しく読んでも分からない。仕事柄こういうの、モヤモヤする。とにかく、酢とラー油は麺が熱いうちに大胆にかけろということらしい。かけないと本来の味にならないらしい。それなら最初からかけて出せばいいのに。

5分ほど経って、スタッフAが厨房から滑るようにやって来て、「お待たせしました!」と言って丼を置いた。スタッフAって、アルファベット付けてみたけど、どうやらAしか居ないらしい。いわゆるワンオペ。席数と店員数のバランスがおかしい。きりん寺のように有名店であっても、経営は安泰とは言えないのだろうか。たまたま病欠とかかも知れないけど。

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丼に向き直る。扇のように並べられたチャーシュー。半熟…というか温泉玉子。少しのメンマ。薬味は大量に振られたゴマと盛り上がったきざみ海苔。はて、キムチが乗っていないようだが?代わりにチャーシューが多いみたいだ。全部のせには、キムチは含まれないのだろうか?う~ん、すごくモヤモヤ。

とりあえず混ぜて少し啜ってみる。なるほど、塩気はあるけど、ちょっと味気ないかも。ウンチクのとおり、酢とラー油をかけたほうが良さそうだ。それぞれ思い切って2周ずつかけて、豪快に底から混ぜてから啜る。

おおっ、たしかに美味しくなった。もともと濃い目の味に、さらにパンチが出た。酢がうまみを増幅させ、ラー油が少しピリ辛く、あと引く味わいになった。ゆるい縮れのモッチリ麺に、温かい油と醤油がしっかりと絡んでくる。うん、ウマイ。ウマイけど、かなりしょっぱい。白飯が欲しくなってくる。

麺も残り半分というところで、卓上にあった辛味噌を投入する。容器に貼り付けてあるテプラの案内文は「辛味噌を入れて食うて見、飛ぶぞ」。ハハ…、中学生かな?小さい匙で2掬い。混ぜて馴染ませると、濃い味がさらに濃くなり、コクが出た。グッと来る辛さと、追い打ちの塩分マシマシ。う〜ん、味が濃すぎのショー・コスギ。あとでメチャクチャ喉渇きそう。

そんな感じで、初めてのキリン寺の油そばを堪能した。がっつりオイリー!猛烈な塩気!たっぷりの麺!若い子はこういうの、好きなんやろうなあ。40過ぎたおっさんには、ちとキツかったな。まあたまにはこういう若向きの味も食っとかないとね。ご馳走様々。

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