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蓋を開ければ
ほわと湯気立つ親子丼
鴨の肉を使っているとのこと
そうであれば
厳密には親子ではない
中央に乗せられた卵黄は
箸で摘まめど
匙で突けど
つるりと躱す
丈夫な粘膜を持ち
決して怒らず
いつも静かに笑っている
肉は5切
小振りながら
噛めば弾力を感じる
そんな少しの肉と
白米と
仰山の鶏卵から成り
他に具と言えば
品書きの写真で三つ葉に見えた葉が
実際は千切った水菜であり
気持ちひどく萎え
米はしゃばしゃば
仕舞はお茶漬け感覚ですすり
それらのことを
私感を勘定に入れずに
よく吟味し分かり
そして忘れず
セットの蕎麦は
手切りのようだが
香りは感じず
固茹でで細く
少ない
つけつゆは辛く
関東めいて
山葵はぬるい
JRの野田駅の高架下の店の
薄暗い木製のカウンターにいて
西に疲れた母あれば
行って1600円は高いと言い
南に死にそうな人あれば
行って品書きの写真を撮り直せと言い
あるいは丼の肉も
全部が鴨だったか
鶏が混ざっていなかったか
実は親子だったのか
食後となっては
判別もつかず
疑念は膨らみ
腹も膨らみ
ともあれ己の飲みこんだ食事が
今さら何であれ構わぬと思う
広い度量を持って
ごちそうさまでしたと
微笑んで見せ
快く代金を支払う
そういう男で
わたしは
ありたい
【お店】蕎麦 鴨 酒 みかど
【アクセス】JR野田駅すぐ
【メニュー】鴨親子丼セット 1,600円
【味】丼もつゆも強めの味
【雰囲気】小洒落た和風
【私のおすすめ度】B
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★私のおすすめ度格付(僭越ながら)
AAA 大満足！絶対おすすめ
AA 満足！超おすすめ
A おすすめ
B 可もなく不可もなく
C 人によってはおすすめしない
D おすすめしない
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