とんかつ道場 野田阪神店
とんかつ弁当とヘレカツ弁当と唐揚げ


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●とんかつ弁当(店内) 690円

ボリューミーなとんかつ弁当を提供する、人気の弁当屋が職場近くにある。とGoogleの地図検索は示した。通いのラーメン屋のすぐ隣らしい。そんなのあったっけと足を運んでみると、確かにあった。入り口の引き戸には狂気を感じさせるファンシーな豚の顔面と、その周囲に安い、うまい、とんかつ道場と書いてある。明らかに僕を誘っている。店頭に広げられたメニュー表でとんかつ弁当の記載を確かめた。

店内に入ると目の前にレジカウンターがあり、その上、下、左の壁一面に、所狭しと弁当の盛付写真が貼ってある。多彩なタネの揚げ物を詰めた弁当を提供していて、そのタネの組み合わせ毎に固有の名前が付けられている。あらかじめ目当てのメニューを決めておかないと、おびただしい数の品書きに囲まれて立ち尽くす事になるだろう。

後ろ手に戸を閉めた僕をじっと見つめる、いかにも機転の利きそうな、端正な目つきの女性店員に向かってとんかつ弁当をと申し出た。彼女はハイと言って頷き、奥に居る男性店員の背中に振り向いてとんかつ!と叫んだ。調理に忙しそうなコック服の彼に反応はない。果たして彼女が僕の注文を伝えたものか、コック服の彼の名前がとんかつというのか咄嗟に判らなかったが、女性店員がそのまま作業に戻った所を見るに、あれで僕の注文は通ったらしい。

レジカウンターの右奥にイートイン用スペースがあることには、注文してから気が付いた。唯1人の先客は入り口脇の椅子に掛けて弁当の出来上がりを待っている様子だった。忙しそうな女性店員に声を掛けると、どうぞどうぞと快い返事をくれた。それから男性店員に振り向き、さっきのとんかつ、店内で!と声を掛けた。彼の反応はない。もしかしてとんかつとは僕の事だったのか咄嗟に判らなかったが、ともかくイートインが出来るなら色々と手間がなくていい。コップに水を汲んでカウンター席の一番手前に掛けた。入り口横に引っ掛けてあるテレビの音が賑やかしい。

盆に乗せられたとんかつ弁当が運ばれて来た。イートインなのに弁当箱で出て来た。本来は皿に盛るところを、僕がまず弁当と注文してからイートインに変えたためにこうなったのかも知れなかった。他にはこまぎれの白菜が具の味噌汁と、小皿にひじき煮と沢庵が乗っている。か細い赤の輪ゴム1本で留められた弁当の蓋は、とんかつに押し上げられて浮いていた。そうまでして蓋を閉める必要があったのだろうか。

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濃いめの味噌汁をひとくち啜ってから、弁当の蓋を開けた。B5サイズのハードカバー本ほどある弁当箱の表面を覆い尽くす大判のとんかつ。ベッタリ塗られた茶色のソース。とんかつをめくるとまたソースにまみれた千切りキャベツ。その下にぎっしり敷き詰めたご飯。どこを切り取っても逆さのブルガリア国旗のような3色の層が現れる。端から端までずっと同じ味が続くと思うと、ひとつまみの沢庵が急に頼もしく見えた。

カリッと衣が香ばしい揚げたてのとんかつ。肉の厚みもそこそこある。ソースは濃く甘辛い。キャベツはシャキシャキと瑞々しい。揚げ物にはうってつけの、粒立った強目の飯が嬉しい。想像以上、値段以上、見た目以上においしい。ご飯がどんどん進む味付けではあるが、如何せんとんかつとご飯に対してソースの量が多すぎる。果てしなく同じ濃い味の巨大とんかつ弁当に対して、味噌汁と沢庵とひじきの助けを借りつつ無事に完食した。

税込690円で腹がはち切れんばかりの満足感。コストパフォーマンスがチョモランマ。たっぷりの千切りキャベツと、ひじき煮で栄養バランスもバッチリだ。今度はソース少なめと注文してみようか。ちなみにソースはデミ、和風、醤油、ポン酢に変えることが出来る。また2種類選んで半々にもしてもらえる。そもそもとんかつとご飯を別盛りにも出来るらしい。ヒレカツも気になる。唐揚げも気になる。これはやはり近々また来て、そしてしばらく通い詰めねばなるまいと小さな決意をして店を後にした。

思い返せば、僕がテレビを眺めて弁当を待っている間も、とんかつを齧っている間も、続々と引切りなしに客が出入りし、弁当は飛ぶように売れていた。電話かネットでも注文ができるようだ。客がいなくても2人が忙しそうにしていた理由が判った。人気店である。

●ヘレカツ弁当 730円
●唐揚げ100g 150円

翌日。僕はまたカウンター席の、同じ一番手前の椅子に掛けた。この日のレジ係は若くて腰の低い男性店員、調理担当のコック服の彼は昨日と同じである。今回は2つ隣の席に先客があった。ガタイの良い男性が何かの揚げ物をがっついていた。その様子が僕の空腹感を加速させた。ただ、口を開けてくちゃくちゃ咀嚼する音がひどく耳に障った。

盆に乗せられて来たヘレカツ弁当。かつとご飯は別々で、そしてやはり弁当箱に盛り付けられている。昨日のは僕の失敗ではなく、イートインでも弁当箱に詰めるのが店の決まりらしい。確かに洗い物がなくて良い。名刺サイズのヘレカツが5枚。唐揚げは別皿で3個。A5サイズほどの折蓋にぎっしりの白飯。味噌汁と副菜のひじき煮、沢庵は昨日と同じである。弁当の蓋を輪ゴムで閉じる必要性は相変わらず判らない。

ザクザク粗めの衣を纏ったヘレ肉は柔らかい。恐らく昨日とんかつに掛かっていたのと同じ茶色のソースを、今度は自分で掛けて食べる。うまい。強目の飯。良い。唐揚げは鶏もも肉。ぱりっと薄い衣で、下味は意外と軽い。マヨネーズをちょっとつけて頂く。素敵。怒涛の揚げ物ラッシュに対して白飯が足りないが、これ以上は食い切れないという豊食のジレンマ。今日この時を授けてくれた天地万物にありがとう。

僕のささやかな至福を台無しにしたのは隣のくちゃくちゃ男だ。がさがさと荒っぽく箸を動かす割に食うのが遅いわ、携帯電話で通話し出すわ、トイレに立つわ、鼻息荒いわで、僕が嫌いな男の特徴トップ5を総ナメにした碌でなしである。こちらの飯がまずくなるのでやめてもらいたい。今度店に来てこの男が居たら一旦外へ出て時間を潰さないといけないので、顔をよく見てしっかりと覚えておいた。

そんなこんなで最後の方は味がしなかったが、今回もがっつり盛り弁当を腹に収めた。880円で大変な満足である。あとはチキンカツ、魚フライにのり弁、6種盛合せの道場弁当、焼き肉にハンバーグ。一体どういう順番で制覇して行くかと思い巡らせながら帰路についた。午後の仕事は捗らなかった。

【お店】とんかつ道場
【アクセス】各線野田駅から徒歩圏
【味】大味だがそれがいい
【雰囲気】弁当屋
【私のおすすめ度】AA

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    ★私のおすすめ度格付(僭越ながら)
    AAA 大満足!絶対おすすめ
    AA 満足!超おすすめ
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    D おすすめしない

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