3〜4cm幅にカットされた幾種類かのパンを詰め込んだバスケットを抱え、上品で物腰柔らかな天使が店内を巡回しています。皿の上のパンが減ってきた頃に近寄り「おかわりはいかがですか?」と微笑み掛けては、下賤な我々に美味しいパンとバターを施してくれます。彼女たちは、物覚えの良くない私がこれは何でしたっけと訊ねても、毎回すべてのパンについて教えてくれる慈愛の心までも持ち合わせていました。パンの種類は一部が入れ替わりますが、フランスパン以外は皆柔らかいパンでした。オレンジのパン、くるみのパン、フスマ入りのパンが良かったです。
ハンバーグやビーフシチューは濃厚で味もしっかりとしていて、卑しい私にさあパンを食べ給え、おかわりし給えと囁いてきます。さらにデミグラスソースやシチューをパンにつけて頬張れば、何とも言い表せない達成感と高揚感を得ることができます。やった、やったぞ、私はやったんだ、と。そのとき隣にはトングを構えた彼女が立っていました。
今日の昼食は軽めにと思って訪れたのに、気が付けばしこたまパンを詰め込んで、俗悪な私の胃袋は張り裂けんばかりになっていました。料理が特段に美味というわけでもありませんが、広々とした店内で、目配り気配りしながらせっせと歩き回る女給さんを横目に、贅沢な空間でゆったりと昼食をとることができます。一般的なファミレスより一段上のお値段かと思いますが、待ち客の出る人気店である理由が解ります。ご馳走様々。
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