「もうひとつの正義」
秘伝のたれ 博多からあげ響 香芝店


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真新しく綺麗なアスファルトが季節外れの太陽を照り返す5月末の午前。オープンから1週間というのに閑古鳥の鳴く店内はほんの少し涼しくて、愛想良く商品の紹介をしてくれる店員のお姐さんの笑顔が却って寂しくて、臆病な私は視線を合わせることが出来なかった。

ドラム缶をテーブルに仕立てたラフなイートインスペース。オフィス街の路地裏にうってつけの“一杯引っ掛けるスタイル”。果たしてこの奈良の住宅街の公道沿いで、車に乗って酒を煽りに来るのは一体どんな層だろう?「ドン安」などと書いた楽しげな看板が、ぎゅっと胸を締め付けた。

唐揚げが1個から買えることもあり、ひと通りの単品メニューを注文してみる。たった1個のヤンニョムチキンのためにタレを混ぜ合わせる店主と、個装パックを用意するお姐さんの健気な姿に、言い知れぬ申し訳なさと昔ほど大量に食べてあげられない自責の念に心が震えた。

チキン南蛮の妙な甘酸っぱさと露骨なタルタルソースの二重の濃厚さは、たったひとくち大の唐揚げをバスケットボールほどに感じさせた。ヤンニョムチキンとは韓国料理らしく、ベタベタと纏わり付いた甘辛いタレが唐揚げを愛する私の心をもねっとりと覆い尽くし、視界はゆるやかに失われた。

唐揚げはムネ、モモを3つずつ。カリカリとやや厚めの衣からあらわれた鶏肉は思った以上に甘い味付けがされている。塩気も無くはない。しかし、ご飯のおかずにも、ビールのつまみにもならない。これが博多の唐揚げだというなら、私はまだ見ぬ博多という街をいっそ誤解し、そのままそっとこの短い生涯を閉じよう。

正しい唐揚げというものを私は知らないし、正義と争うのはもうひとつの正義であると理解しながら、しかし私はにんにくと塩気のきいた、飯をかき込みたくなるような、ビールを流し込みたくなるような、そんな正義(唐揚げ)を抱き締めて眠りたい。ご馳走様々。

【お店】秘伝のたれ 博多からあげ響 香芝店
【アクセス】近鉄二上駅から徒歩25分
【メニュー】唐揚げ 110円〜
【味】塩気に拮抗する甘さ
【雰囲気】プレハブ
【私のおすすめ度】C

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★私のおすすめ度格付(僭越ながら)
AAA 大満足!絶対おすすめ
AA 満足!超おすすめ
A おすすめ
B 可もなく不可もなく
C 人によってはおすすめしない
D おすすめしない

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